二酸化チタンお菓子の安全性は?役割と規制を解説
ふと手にしたお菓子の原材料表示を見て、「二酸化チタン」という文字に疑問や不安を感じたことはありませんか?特に、子どもに人気の二酸化チタン グミや、真っ白で美しい二酸化チタン ホワイトチョコ、そして口溶けのよい二酸化チタン アイスなど、様々なお菓子でこの名前を見かけることがあります。この記事では、食品添加物である二酸化チタンがどのような役割を持ち、安全性について世界でどのように評価されているのか、そして私たちがどう向き合えばよいのかを、専門的な観点から分かりやすく解説していきます。
- 二酸化チタンが食品添加物として果たす役割
- お菓子に美しい白色を与える具体的な仕組み
- 二酸化チタンの安全性に関する国際的な評価の違い
- 欧州(EU)と日本における規制状況と今後の動向
二酸化チタンお菓子とは?その役割と用途
- 食品添加物「二酸化チタン」の基本情報
- お菓子を白く見せる着色料としての働き
- 見た目の良さを向上させる目的で使用
- 具体例としての二酸化チタン グミ
- 美しい白さを保つ二酸化チタン ホワイトチョコ
- 口当たりを良くする二酸化チタン アイス
食品添加物「二酸化チタン」の基本情報

二酸化チタンは、チタンという金属の酸化物で、自然界に存在する鉱物から得られる白色の粉末です。 化学的には非常に安定した物質で、味やにおいはありません。 日本では1983年に食品添加物として使用が認められており、主に「着色料」としての役割を担っています。 お菓子以外にも、医薬品の錠剤を白くしたり、化粧品の日焼け止め成分として使われたりと、幅広い分野で活用されている物質です。
ポイント:二酸化チタンの基本
二酸化チタンは、鉱物由来の白色顔料であり、食品添加物としては「着色料」に分類されます。無味無臭で、食品の色を白く、または不透明にするために使用されるのが一般的です。
お菓子を白く見せる着色料としての働き

二酸化チタンが食品を白く見せる理由は、その粒子が光を非常に効率よく散乱させる性質を持っているためです。光が二酸化チタンの微粒子に当たると、あらゆる方向に反射・散乱されます。これにより、私たちの目にはその食品が白く、そして不透明に見えるのです。言ってしまえば、食品の表面を白い絵の具でコーティングするような効果があり、これを専門的には「マスキング効果」と呼びます。 この働きにより、食品本来の色ムラを隠したり、鮮やかな色を出すための下地として機能したりします。
見た目の良さを向上させる目的で使用

多くの場合、二酸化チタンの使用目的は、味や栄養、保存性を高めることではなく、純粋に「見た目の美しさ」や「商品の魅力を高める」ことにあります。 例えば、くすんだ色のチョコレートよりも、真っ白なホワイトチョコレートの方が高級感や清潔感を感じる消費者は少なくありません。このように、二酸化チタンは食品の「お化粧」のような役割を果たし、消費者の購買意欲を刺激する目的で使われています。食品の機能性を向上させるわけではないため、一部では「美容目的の添加物」とも言えるでしょう。
著者の視点:
私の場合、食品を選ぶ際には見た目の美しさも一つの判断基準になります。特に贈答用のお菓子などは、やはり綺麗なものを選びたいと感じます。二酸化チタンは、そうした消費者のニーズに応えるために重要な役割を担っていると考えることができます。
具体例としての二酸化チタン グミ

カラフルなグミ製品の一部には、二酸化チタンが使用されています。これは、グミの色をより鮮やかに、そしてはっきりと見せるためです。例えば、パステルカラーのグミを作る際、まず二酸化チタンで生地全体を白く不透明な状態にします。この白いキャンバスの上に他の着色料で色付けをすることで、色が濁ることなく、デザイナーが意図した通りの美しい発色が可能になります。 もし二酸化チタンがなければ、グミのゼラチン質が持つ本来の透明感や黄色みが影響し、くすんだ色合いになってしまうことがあります。
美しい白さを保つ二酸化チタン ホワイトチョコ

ホワイトチョコレートも、二酸化チタンがよく使用されるお菓子の一つです。 本来、カカオバターや砂糖、乳製品から作られるホワイトチョコレートは、完全な純白ではなく、ややクリーム色や黄色みがかった色合いをしています。そこで二酸化チタンを添加することで、雪のような美しい純白を実現し、製品の高級感や特別感を演出しています。 この白さは、デコレーションケーキのコーティングや、他の色と組み合わせる際にも見栄えを良くする効果があります。
口当たりを良くする二酸化チタン アイス

アイスクリームやシャーベット類でも、二酸化チタンは着色料として利用されることがあります。 主な目的は、他の菓子類と同様に製品をより白く、魅力的に見せることです。例えば、バニラアイスをよりクリーミーで濃厚な白色に見せたり、フルーツ系のシャーベットの色を鮮やかにしたりする効果が期待されます。一部では、微細な粒子が滑らかな食感に寄与するという情報も見られますが、食品添加物としての主な用途は着色目的であると理解しておくのが一般的です。
知っておきたい二酸化チタンお菓子の安全性
- 二酸化チタンの安全性に関する国際的な評価
- 欧州(EU)における使用規制の動向
- 日本国内での二酸化チタンの現在の扱い
- 原材料表示で添加物を確認する方法
- まとめ:二酸化チタンお菓子との向き合い方
二酸化チタンの安全性に関する国際的な評価
二酸化チタンの安全性評価は、国際機関や国によって見解が分かれているのが現状です。 古くは1969年に、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が「一日摂取許容量(ADI)を特定しない」と評価しました。 これは、経口摂取した場合の毒性が低いという判断に基づくものです。しかし、この評価は後に見直されることになります。一方で、国際がん研究機関(IARC)は、二酸化チタンの粉塵を吸入した場合のリスクについて「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(グループ2B)」と分類しています。 重要なのは、これはあくまで「吸入」に関する評価であり、食品として「経口摂取」する場合のリスク評価とは直接異なるという点です。
欧州(EU)における使用規制の動向

注意:EUでは食品添加物としての使用が禁止
2022年以降、欧州連合(EU)では二酸化チタン(E171)を食品添加物として使用することが禁止されています。
近年、二酸化チタンの安全性に関する議論で最も大きな動きを見せたのが欧州です。欧州食品安全機関(EFSA)は2021年5月、最新の科学的知見(特にナノ粒子に関する研究)を再評価した結果、「遺伝毒性(DNAを損傷させる可能性)の懸念が払拭できない」と結論付けました。 この評価では、二酸化チタンの粒子が体内に吸収される量は非常に少ないものの、蓄積の可能性は否定できず、遺伝毒性の懸念から「もはや安全な食品添加物とは見なせない」と判断したのです。 このEFSAの意見を受け、欧州委員会は規制を決定し、2022年8月8日からEU域内での食品への使用が全面的に禁止されることになりました。
日本国内での二酸化チタンの現在の扱い
一方、日本ではEUの動きとは異なる立場を取っています。厚生労働省や内閣府食品安全委員会は、EFSAの報告を受けて改めて安全性を審議しました。 日本の専門家による評価では、EFSAが懸念の根拠とした遺伝毒性試験のデータ解釈に疑問がある点や、食品として摂取された場合に体内で同様のリスクが生じるかは不明である点などが指摘されました。 国立医薬品食品衛生研究所が実施した動物試験の結果なども踏まえ、2023年7月には「現時点の科学的知見からは、食品添加物として適切に使用される限りにおいて、ヒトの健康への懸念を示す根拠はない」とし、「現行のリスク管理を変更する根拠はない」と結論付けています。 このように、日本、英国、カナダ、米国などは、EUとは異なり、現時点では食品添加物としての使用を認め続けています。
補足:各国の判断の違い
なぜ国によって判断が分かれるのでしょうか。これは、科学的データの解釈や、リスク管理における「予防原則」の考え方の違いが背景にあるとされています。 EUは「少しでも懸念があれば規制する」という予防的なアプローチを重視する傾向があります。 これに対し、日本などは「科学的に明確な有害性が証明されない限りは使用を認める」という立場を取ることが多いです。
原材料表示で添加物を確認する方法
自身が購入する食品に二酸化チタンが含まれているかを知るには、製品パッケージの「原材料名」の欄を確認するのが最も確実です。日本の食品表示法では、使用した全ての添加物を表示することが義務付けられています。 表示は、「添加物」の欄に記載されるか、原材料と明確に区別されて記載されています。
表示名の例
二酸化チタンは、物質名である「二酸化チタン」のほか、簡略名の「酸化チタン」と表示されることもあります。 また、用途名である「着色料」と併記して「着色料(二酸化チタン)」または「着色料(酸化チタン)」と書かれているのが一般的です。 これらの表示を探すことで、使用の有無を確認できます。
表示パターン | 具体的な表示例 |
---|---|
物質名で表示 | 酸化チタン、二酸化チタン |
用途名と物質名を併記 | 着色料(酸化チタン)、着色料(二酸化チタン) |
まとめ:二酸化チタンお菓子との向き合い方
- 二酸化チタンは鉱物由来の白色の着色料である
- お菓子を白く見せたり色を鮮やかにしたりする目的で使用される
- 味や栄養価、保存性を向上させる効果はない
- 主な役割は商品の見た目を良くすることにある
- グミでは鮮やかな発色の下地として使われることがある
- ホワイトチョコレートを美しい純白にするために添加される
- アイスクリームの白色度を高めるためにも利用される
- 安全性については国際的に見解が分かれている
- EUでは遺伝毒性の懸念から2022年に使用が禁止された
- EFSAは「もはや安全とは見なせない」と結論付けている
- 日本では「現時点では安全性に懸念はない」と判断されている
- 厚生労働省や食品安全委員会は使用を認可し続けている
- この違いは科学的データの解釈やリスク管理の考え方による
- 消費者は原材料表示を確認して自ら選択することができる
- 「酸化チタン」または「二酸化チタン」と表示される