毎日の料理に欠かせないフライパンや鍋。中でも「チタン製」の調理器具について、「軽くて丈夫そうだけど、実際の使い勝手はどうなのだろう?」「チタンフライパンの安全性は本当に高いのか?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。チタン鍋はその多くのメリットから注目されていますが、一方で焦げ付きやすいといった声も聞かれます。この記事では、そんなチタン鍋やチタンフライパンが持つ本当の魅力と、購入前に知っておきたい注意点、そして長く快適に使い続けるためのコツを詳しく解説していきます。素材の特性から他の金属との比較、日頃のお手入れ方法まで、あなたの疑問にしっかりとお答えします。
- チタンという素材が持つ優れたメリットと、調理器具としての高い安全性
- アルミ・ステンレス・鉄といった他の主要な素材との具体的な違い
- チタンフライパンのデメリットと、それを克服するための上手な使い方
- 大切なチタン製調理器具を長持ちさせるためのお手入れ方法や寿命について
チタンフライパンのメリットと高い安全性
- チタンのメリットを徹底解説
- チタンとアルミの素材比較
- チタンとステンレスの違いとは?
- チタンと鉄フライパンの比較
- チタンのコーティングと安全性
チタンのメリットを徹底解説
チタン製のフライパンや鍋が多くの料理愛好家やプロの料理人から選ばれるのには、たくさんの理由があります。ここでは、チタンが持つ優れたメリットを一つひとつ分かりやすく解説します。
「チタンって、なんだかすごそう!」と感じている方も多いかもしれませんね。その直感は正解です。特に料理器具としてのポテンシャルは非常に高いものがあります。
驚きの軽さ
チタンの最大の特長の一つは、その圧倒的な軽さです。 鉄やステンレスといった他の金属製フライパンと比較すると、同じサイズでも手に持った時の感覚が全く異なります。この軽さは、毎日の調理でフライパンを振るう際の腕や手首への負担を大幅に軽減してくれるでしょう。力が弱い方でも扱いやすく、調理中のストレスを感じさせません。
優れた強度と耐久性
チタンは軽いだけでなく、非常に頑丈で変形しにくいというメリットも持ち合わせています。 うっかり落としてしまったり、壁にぶつけてしまったりしても、凹んだり歪んだりしにくいのが特徴です。また、高温の調理を繰り返しても変形しにくいため、長く愛用することができます。 この高い耐久性は、結果的にコストパフォーマンスの良さにも繋がります。
錆びにくく衛生的
鉄製のフライパンで気になるのが「錆び」の問題ですが、チタンは非常に優れた耐食性を持っています。 空気中で表面に安定した酸化皮膜を形成するため、水や塩分に強く、錆びることがほとんどありません。 そのため、トマトソースのような酸性の強い料理や、塩分を多く使う調理にも安心して使用できます。 面倒な錆び対策の手入れが不要で、いつでも衛生的な状態を保ちやすいのは嬉しいポイントです。
高い安全性
調理器具を選ぶ上で、最も気になるのが安全性ではないでしょうか。チタンは、人体に対して非常に安全な金属として知られています。 金属イオンが溶け出しにくいため、金属アレルギーを引き起こす可能性が極めて低いとされています。 この特性から、人工関節やインプラントといった医療分野でも広く活用されているほどです。 料理の味や風味を損なうこともなく、安心して毎日の食事作りに使えます。
チタンのメリットまとめ
- 軽い:調理中の負担が少なく、誰でも扱いやすい。
- 強い:衝撃に強く変形しにくいため、長く使える。
- 錆びない:手入れが簡単で、いつでも衛生的。
- 安全:金属アレルギーの心配が少なく、体に優しい。
このように、チタンは「軽量」「高強度」「耐食性」「安全性」という、調理器具に求められる多くの要素を高いレベルで満たしている理想的な素材なのです。
チタンとアルミの素材比較
フライパン選びでよく比較対象となるのが、チタンとアルミニウムです。どちらも軽量な金属として知られていますが、その特性には大きな違いがあります。ここでは、チタンとアルミの素材を様々な角度から比較し、それぞれの長所と短所を明らかにしていきます。
項目 | チタン | アルミニウム |
---|---|---|
重さ | 非常に軽い | 軽い |
熱伝導率 | 低い | 非常に高い |
強度・耐久性 | 非常に高い | 低い(変形しやすい) |
耐食性(錆びにくさ) | 非常に高い | 普通(酸やアルカリに弱い) |
安全性 | 金属アレルギーの心配が少ない | 一般的に安全だが、酸などで溶け出す可能性も |
価格 | 高い | 安い |
熱の伝わり方の違い
最も大きな違いは「熱伝導率」です。アルミニウムは熱伝導率が非常に高く、火にかけるとすぐに温まり、食材全体に素早く均一に熱を伝えることができます。 パスタを茹でたり、炒め物を手早く仕上げたりするのに向いています。
一方、チタンは熱伝導率が低いという特徴があります。 これは、火が当たっている部分が局所的に熱くなりやすく、フライパン全体が温まるのに少し時間がかかることを意味します。 この特性は一見デメリットに思えますが、じっくりと火を通したいステーキや煮込み料理には、むしろメリットとして働くこともあります。
強度と寿命の観点から
強度と耐久性の面では、チタンに軍配が上がります。 アルミニウムは柔らかい金属であるため、強い衝撃で変形しやすいという弱点があります。 それに対して、チタンは非常に硬く頑丈なため、長く使い続けても形が崩れにくいです。
また、耐食性においてもチタンが優れています。 アルミは酸やアルカリに弱く、トマトソースなどの調理で表面が侵食されることがありますが、チタンはそのような心配がほとんどありません。
こんな人におすすめ
- チタンがおすすめな人:一つの調理器具を長く大切に使いたい方、金属アレルギーが気になる方、アウトドアなど過酷な環境で使いたい方。
- アルミがおすすめな人:手軽さと調理のスピードを重視する方、パスタなどの湯沸かしや素早い炒め物をメインで使いたい方、コストを抑えたい方。
このように言うと、どちらの素材も一長一短です。あなたの料理スタイルや、調理器具に何を求めるかによって最適な選択は変わってきます。それぞれの特性を理解し、自分に合ったフライパンを選ぶことが大切です。
チタンとステンレスの違いとは?
チタンと並んで、丈夫で衛生的な調理器具の素材として人気なのがステンレスです。どちらも錆びにくく長持ちするという共通点がありますが、使い勝手には明確な違いが存在します。ここでは、チタンとステンレスを比較し、それぞれの素材がどのような料理や使い方に向いているのかを解説します。
項目 | チタン | ステンレス |
---|---|---|
重さ | 非常に軽い | 重い |
熱伝導率 | 低い | 低い |
保温性 | 普通 | 高い |
強度・耐久性 | 非常に高い | 高い |
耐食性(錆びにくさ) | 非常に高い | 高い |
安全性 | 金属アレルギーの心配が少ない | アレルギーの可能性はゼロではない |
重さと保温性のトレードオフ
チタンの最大の魅力が「軽さ」であるのに対し、ステンレスのフライパンはずっしりとした重さが特徴です。 この重さは、調理中にフライパンを振る際にはデメリットに感じられるかもしれません。
しかし、この重さは高い「保温性」につながっています。 ステンレスは一度温まると冷めにくく、食材を入れてもフライパンの温度が下がりにくい性質があります。 これにより、ステーキの表面をカリッと焼き上げたり、煮込み料理をじっくりと均一に加熱したりするのに非常に適しています。
一方、チタンはステンレスほどの保温性はありませんが、その軽さから取り回しが非常に楽です。
熱の伝わり方と得意な料理
熱伝導率に関しては、実はチタンもステンレスも低い部類に入ります。 そのため、どちらの素材も調理前にはしっかりと予熱をすることが美味しく仕上げるコツとなります。
ステンレスは、その高い保温性を活かして、焼きムラなく仕上げたい料理や、余熱調理に向いています。 ハンバーグや鶏肉のソテーなどが代表的です。
チタンは、軽さを活かしてフライパンを振りやすいことから、炒め物にも対応できますが、熱伝導率の低さからくる熱ムラには少し注意が必要です。
ステンレスは「じっくり、しっかり火を通す」のが得意で、チタンは「軽さを活かしてアクティブに使う」のに向いている、とイメージすると分かりやすいかもしれませんね。
どちらも耐久性と耐食性に優れた素晴らしい素材ですが、その特性は異なります。 軽快な使い心地を求めるならチタン、じっくりと本格的な焼き物や煮物を作りたいならステンレス、というように、作りたい料理のスタイルに合わせて選ぶことをお勧めします。
チタンと鉄フライパンの比較
「フライパンを育てる」という言葉があるように、使い込むほどに油がなじみ、愛着が湧くのが鉄フライパンの魅力です。一方で、軽さと手入れのしやすさで注目されるチタン。この二つの素材は、料理へのアプローチが大きく異なります。ここでは、それぞれの特徴を比較してみましょう。
項目 | チタン | 鉄 |
---|---|---|
重さ | 非常に軽い | 非常に重い |
熱伝導率 | 低い | 高い |
手入れ | 簡単(錆びない) | シーズニングや油ならしが必要(錆びやすい) |
耐久性 | 高い | 非常に高い(半永久的) |
得意な料理 | 炒め物、煮込み料理 | 高温での炒め物、焼き物 |
価格 | 高い | 比較的安い |
手入れの手間と「育てる」楽しみ
最も大きな違いは、日頃の手入れにあります。鉄フライパンは水分に弱く、使用後に濡れたまま放置するとすぐに錆びてしまいます。 そのため、使用後は洗剤を使わずにお湯で洗い、火にかけて水分を飛ばし、薄く油を塗って保管するという手間が必要です。 しかし、この手間をかけることでフライパンに油膜が形成され、焦げ付きにくく、より使いやすい道具へと変化していきます。
対照的に、チタンは全く錆びません。 そのため、使用後は他の食器と同じように洗剤で洗い、乾かすだけで問題ありません。手軽さを求める方にとっては、この点は大きなメリットと言えるでしょう。
調理性能の違い
鉄は熱伝導率と蓄熱性に優れており、高温での調理が非常に得意です。 食材を入れると表面を一気に焼き固め、旨味を閉じ込めることができます。野菜炒めはシャキッと、ステーキはジューシーに仕上がるのはこのためです。
チタンは熱伝導率が低いため、鉄のように食材を一気に加熱するのは少し苦手です。 しかし、その軽さからフライパンをあおるような調理はしやすく、じっくり火を通す煮込み料理などにも向いています。
鉄フライパンの注意点
鉄フライパンは非常に重く、調理中に片手で持ち上げたり振ったりするのはかなりの力が必要です。 また、調理後に料理を入れっぱなしにしておくと錆びや金属臭の原因になるため、すぐに皿に移す必要があります。
言ってしまえば、手入れの手間を楽しみながら、プロのような本格的な焼き上がりを追求したいのであれば鉄フライパンが適しています。一方で、日々の調理の手軽さ、メンテナンスの容易さを最優先に考えるのであれば、チタンフライパンが非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
チタンのコーティングと安全性
「チタンフライパン」と一言で言っても、実はいくつかの種類があります。一つはチタンそのもので作られた「純チタン製」のもの。そしてもう一つが、アルミなどの基材の表面にチタン粒子を含んだコーティングを施した「チタンコート」のフライパンです。ここでは、そのコーティングの役割と安全性について詳しく見ていきましょう。
チタンコーティングの役割とは?
多くのチタンコートフライパンは、アルミニウムの本体にフッ素樹脂を何層にも重ねてコーティングし、その中に硬いチタンの粒子を配合しています。
この構造には、以下のようなメリットがあります。
- 焦げ付きにくさの向上:ベースとなるフッ素樹脂加工により、食材がこびりつきにくくなります。
- 耐久性の強化:硬いチタン粒子を配合することで、コーティングの耐摩耗性が向上し、傷がつきにくく長持ちします。
- 熱伝導の補完:本体が熱伝導の良いアルミニウムであるため、純チタン製のフライパンが持つ「熱ムラができやすい」という弱点をカバーできます。
つまり、アルミニウムの「熱伝導の良さ」とフッ素樹脂の「焦げ付きにくさ」、そしてチタンの「硬さ」を組み合わせた、ハイブリッドなフライパンがチタンコートフライパンなのです。
コーティングの安全性は大丈夫?
フライパンのコーティングについて、「加熱すると有害な物質が出るのでは?」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。特に、過去に使用されていた「PFOA(ペルフルオロオクタン酸)」という物質は、発がん性への懸念が指摘されていました。
現在のフライパンは安全性が高い
しかし、現在、国内で正規に流通している大手メーカーのフッ素樹脂加工フライパンでは、PFOAは使用されていません。 多くの製品で「PFOAフリー」が明記されており、安心して使用できます。
ただし、フッ素樹脂(PTFE)コーティング全般に言えることとして、極端な高温(目安として260℃以上)での空焚きは避けるべきです。 これは、コーティングが劣化し、有毒なガスが発生する可能性があるためです。 とは言え、通常の調理で油などを入れていれば、この温度に達することはほとんどありません。中火以下で正しく使用していれば、安全性に問題はないと言えるでしょう。
純チタン製のフライパンは、コーティングがないため剥がれる心配が一切なく、極めて安全性が高いと言えます。 コーティングの有無や種類を理解し、それぞれの特性に合った使い方をすることが大切です。
チタンフライパンの安全性と上手な付き合い方
- 知っておきたいチタンのデメリット
- チタンは焦げ付きやすい?その理由
- チタンの上手な使い方のコツ
- 長持ちさせるチタンのお手入れ方法
- チタンの寿命はどのくらい?
知っておきたいチタンのデメリット
多くの優れたメリットを持つチタンフライパンですが、万能というわけではありません。購入してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、事前に知っておくべきデメリットも存在します。ここでは、チタンが持ついくつかの弱点について正直に解説します。
チタンフライパンの主なデメリット
- 熱伝導率が低く、熱ムラができやすい
- 価格が比較的高価である
- 高温調理にはあまり向いていない
熱伝導率の低さと熱ムラ
前述の通り、チタンは熱伝導率が低いという性質を持っています。 これは、火が当たっているコンロの中心部分だけが急激に熱くなり、フライパンのフチの方はなかなか温まらない「熱ムラ」という現象を引き起こす原因となります。
この熱ムラがあると、ホットケーキを焼いた時に真ん中だけ焦げてしまったり、炒め物に均一に火が通らなかったりすることがあります。この特性を理解せずに強火で一気に調理しようとすると、失敗の原因になりやすいのです。
価格が高めであること
チタンは加工が難しい金属であることや、素材自体の価値から、アルミニウムや鉄製のフライパンと比較すると価格が高価になる傾向があります。 初期投資としては少し勇気がいるかもしれませんが、その優れた耐久性から非常に長持ちするため、長期的な視点で見ればコストパフォーマンスは決して悪くありません。
高温調理への向き不向き
熱ムラができやすいという特性から、高温で一気に仕上げるような中華料理などにはあまり向いていません。 また、チタンコートが施されているフライパンの場合、強すぎる火力はコーティングを傷める原因にもなります。 揚げ物のように全体を均一な高温に保つ必要のある料理も、得意とは言えません。
デメリットを聞くと少し不安になるかもしれませんが、ご安心ください。これらの弱点は、チタンの特性を理解し、使い方を少し工夫するだけで十分にカバーできるものばかりです。次の項目で、そのコツを詳しくご紹介しますね。
チタンは焦げ付きやすい?その理由
「チタンフライパンは焦げ付きやすい」という話を耳にしたことがあるかもしれません。特に、コーティングの施されていない純チタン製のフライパンで、そのように感じることがあります。しかし、これはチタン素材が劣っているからではなく、その特有の熱の伝わり方に主な原因があります。
焦げ付きの正体は「熱ムラ」
チタンフライパンが焦げ付く最大の理由は、前項でも触れた「熱ムラ」です。
チタンは熱伝導率が低いため、コンロの火が直接当たる中央部分だけが局所的に高温になります。 一方で、フライパンの周辺部はなかなか温度が上がりません。この温度差が大きいまま食材を投入すると、どうなるでしょうか。
中央部分に置かれた食材は、急激な高温によって水分が奪われ、フライパンの表面に一気に貼り付いてしまいます。これが「焦げ付き」の正体です。つまり、フライパン全体が均一に温まる前に調理を始めてしまうことが、焦げ付きを引き起こす主な原因なのです。
鉄フライパンとの違い
ここで、鉄フライパンと比較してみると分かりやすいでしょう。鉄は熱伝導率が高く、火にかけるとフライパン全体が均一に温まっていきます。そのため、食材をどこに置いても火の通り方に大きな差が出にくく、焦げ付きのリスクが比較的少ないのです。
豆知識:ステンレスも焦げ付きやすい?
実は、ステンレスもチタンと同様に熱伝導率が低い素材です。そのため、ステンレスフライパンも使い方を間違えると同じように焦げ付かせてしまうことがあります。美味しく調理するためには、素材の特性を理解することがとても大切なのです。
このように考えると、チタンが焦げ付きやすいのは、素材の欠陥ではなく、その性質を理解しないまま使ってしまうからだと言えます。逆に言えば、熱ムラをなくすための正しい使い方さえマスターすれば、チタンフライパンでも焦げ付きを最小限に抑え、快適に調理を楽しむことが可能なのです。
チタンの上手な使い方のコツ
チタンフライパンの「熱ムラができやすく焦げ付きやすい」というデメリットは、いくつかの簡単なコツを実践するだけで、大きく改善することができます。ここでは、チタンフライパンを上手に使いこなし、その性能を最大限に引き出すための具体的な方法をご紹介します。
チタンフライパン攻略の3つのポイント
- 予熱を制する
- 油を味方につける
- 火加減をマスターする
1. 予熱を制する:急がば回れ
焦げ付きを防ぐために最も重要なのが、調理前の「予熱」です。熱ムラをなくし、フライパン全体の温度を均一にすることが目的です。
手順:
まず、フライパンに油を入れる前に、弱火~中火でゆっくりと加熱を始めます。 強火は禁物です。中心だけが熱くなり、熱ムラの原因になります。フライパンに手をかざしてみて、全体から均一な熱を感じられるようになったら予熱完了のサインです。時間はかかりますが、このひと手間が仕上がりを大きく左右します。
2. 油を味方につける:油ならしでコーティング
予熱が終わったら、次に少し多めの油を入れ、フライパン全体になじませます。 キッチンペーパーなどを使って、フライパンの内側全体に薄い油の膜を作るようなイメージで広げましょう。この油膜が、食材とフライパンの間にクッションのような層を作り、こびり付きを防いでくれます。
特に使い始めの頃や、純チタン製のフライパンの場合は、鉄フライパンで行う「油ならし」を行うと、より焦げ付きにくくなります。
油ならしの簡単な方法:
フライパンに多めの油(大さじ3~4杯程度)を入れ、弱火で3分ほどじっくり加熱します。その後、火を止めて油をオイルポットなどに移し、残った油をキッチンペーパーでフライパン全体にすり込むように拭きあげます。 これを数回繰り返すと、フライパンの表面に油がなじんでいきます。
3. 火加減をマスターする:基本は中火以下
調理中の火加減は、基本的に中火以下を心がけましょう。 チタンは一度温まると、意外と熱を保ちます。強火でガンガン加熱し続けると、温度が上がりすぎてしまい、食材の水分が一気に飛んで焦げ付いてしまいます。食材を入れて「ジュッ」と音がしたら、少し火を弱めるくらいの感覚で調理するとうまくいきます。
「弱火でじっくり予熱して、油をなじませてから、中火以下で調理する」これがチタンフライパンを使いこなすための合言葉です。最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、慣れてしまえば簡単ですよ。
これらのコツを実践すれば、チタンフライパンはあなたの料理の頼もしいパートナーになるはずです。
長持ちさせるチタンのお手入れ方法
チタン製の調理器具は非常に丈夫で錆びにも強いため、基本的には手入れが非常に楽なのが魅力です。 とはいえ、少しの気遣いでその性能をより長く保つことができます。ここでは、大切なチタンフライパンを末永く愛用するためのお手入れのポイントをご紹介します。
使用後のお手入れの基本
調理が終わったら、フライパンが熱いうちに汚れを落とすのが理想です。ただし、一つだけ絶対に守ってほしいルールがあります。
注意:急激な冷却は避けること!
調理直後の熱いフライパンに、いきなり冷たい水をかけるのは絶対にやめてください。 急激な温度変化は、金属の歪みや、特にコーティングが施されている場合は、コーティングが剥がれたり劣化したりする原因となります。 必ず、フライパンがある程度冷めてから洗うようにしましょう。
フライパンが手で触れるくらいまで冷めたら、柔らかいスポンジと中性洗剤を使って優しく洗います。 金属たわしや、クレンザーのような研磨剤入りの洗剤は、表面に細かい傷をつけたり、コーティングを傷つけたりする原因になるため使用を避けてください。
頑固な焦げ付きがついた場合
もし、うっかり焦げ付かせてしまった場合でも、力任せにゴシゴシこするのは禁物です。そんな時は、お湯を使って汚れをふやかすのが効果的です。
手順:
焦げ付いたフライパンにぬるま湯を張り、しばらく放置して焦げをふやかします。汚れが柔らかくなったら、柔らかいスポンジで優しくこすり落としましょう。それでも落ちない頑固な焦げ付きには、重曹を使うのも一つの方法です。 フライパンに水を張り、重曹を大さじ1杯ほど入れて火にかけ、沸騰したら火を止めて冷めるまで待ち、その後スポンジで洗うと汚れが落ちやすくなります。
保管方法のポイント
チタンは錆びないので、鉄フライパンのように油を塗って保管する必要はありません。 洗った後は、水気をしっかりと拭き取り、十分に乾燥させてから収納してください。湿気が残っていると、雑菌が繁殖する原因にもなります。
また、フライパンを重ねて収納する場合は、間にキッチンペーパーや布を一枚挟むと、表面の傷防止になります。
このように、少しの注意点を守るだけで、チタンフライパンの性能は長期間維持されます。日々の簡単なお手入れで、快適な調理を長く楽しんでください。
チタンの寿命はどのくらい?
「せっかく買ったのだから、できるだけ長く使いたい」というのは、誰しもが思うことでしょう。チタンフライパンの寿命は、その構造によって大きく二つに分けて考える必要があります。「純チタン製」か、それとも「チタンコート」が施されているかです。
純チタン製フライパンの寿命
まず、チタンという金属だけで作られた純チタン製のフライパンの場合、その寿命は「半永久的」と言っても過言ではありません。
チタンは非常に硬く、変形しにくい素材です。 また、絶対に錆びることがないため、鉄フライパンのように錆びて使えなくなるということもありません。 物理的に割れたり、大きな穴が開いたりしない限り、何十年にもわたって使い続けることが可能です。まさに「一生モノ」の調理器具となり得るポテンシャルを秘めています。
チタンコートフライパンの寿命
一方で、アルミニウムなどの基材にチタン粒子を含んだフッ素樹脂コーティングを施した「チタンコート」のフライパンの寿命は、表面のコーティングの寿命に左右されます。
一般的に、チタンコートフライパンの寿命の目安は約2〜3年とされています。 もちろん、これは使用頻度や使い方、手入れの方法によって大きく変わります。
以下のようなサインが見られたら、買い替えを検討する時期かもしれません。
- 食材が頻繁にこびりつくようになった
- 目に見えてコーティングが剥がれてきた
- 表面に深い傷がつき、下の金属が見えている
コーティングを長持ちさせるには?
前述の通り、コーティングの寿命を延ばすためには、日々の使い方が重要です。「強火や空焚きを避ける」「金属製のヘラやターナーを使わない」「急激な温度変化を避ける」「柔らかいスポンジで洗う」といった基本的なことを守るだけで、コーティングの劣化を遅らせることができます。
結論として、コーティングのない純チタン製は手入れさえすれば非常に長く使え、チタンコート製は焦げ付きにくい利便性と引き換えに、数年ごとの買い替えが必要になる、と理解しておくと良いでしょう。どちらを選ぶかは、あなたのライフスタイルや調理器具に求めるものによって決まります。
まとめ:チタンフライパンの安全性と選び方
- チタンは軽くて丈夫、錆びにも強く衛生的な素材
- 金属アレルギーのリスクが極めて低く、人体に対して高い安全性を持つ
- 純チタン製のフライパンはコーティングがなく、半永久的に使用可能
- チタンコートフライパンは焦げ付きにくいが、寿命はコーティングの状態による
- 現在のチタンコートはPFOAフリーで安全性が高い
- チタンのデメリットは熱伝導率の低さからくる熱ムラ
- 熱ムラが焦げ付きの主な原因となる
- 焦げ付きを防ぐには弱火での十分な予熱が最も重要
- 調理の際は少し多めの油を使い、中火以下を基本とする
- 調理直後の熱いフライパンに冷水をかけるのは避ける
- お手入れは柔らかいスポンジと中性洗剤で行う
- 純チタン製は手入れが楽で、育てる楽しみもある
- アルミは熱伝導が良く安価だが、耐久性はチタンに劣る
- ステンレスは保温性が高いが、チタンより重い
- 鉄は高温調理が得意だが、錆びやすく手入れが必要